親しい友人や知人、あるいは恋人にお金を貸したけどなかなか返してもらえない。いつになったら返済してくれるのか。。。
相手の誠意を信じたいから、こちらから返して欲しいって言うのもアレだし。
個人的なお金の貸し借りは、お金を借りた人ばかりでなく、お金を貸した人にもいろいろと心理的にストレスの原因になります。
貸したお金は感謝の気持ちとともに、相手から気持ちよく返してもらいたいものですが、なかなかそのような人ばかりではないのが現実です。
貸したお金を気持ちよく返してもらえない場合、どのような方法でお金を返してもらうことができるのか。法的手段に訴えるとしたら、どのような方法があるのか。まとめてみました。
個人事業主やフリーランスの方で、仕事を引き受けて納品済みだけどクライアントからなかなか代金の支払いがないといった場合にも使える方法です。
相手に直接返済請求する
まず最初に行うべきは相手に連絡して直接お金の返済を請求することです。
「貸したお金を返してください。いつになったら返済できますか?」とはっきり要求しましょう。
貸した相手がよほど誠意のない人でなければ、謝罪とともになんらかのリアクションがあるはずです。
中には「ごめんごめん」と言いながら申し訳ない気持ちをアピールしつつ、実際の返済はズルズルと後回しにしてしまう狡猾な人もいますが、たびたび続くようなら別の手段も考えましょう。
お金を借りてなかなか返さず、相手から強く返済を迫られるような人は、あなた以外にもいろんな人から借金をしている場合があります。
この場合、相手の中ではまず誰にお金を返すのかの優先順位ができているものです。
優先順位といっても、怖い人やあまりにうるさく言ってくる人、利子の付く借入先などを優先している場合が多く、おとなしい人は「アイツならまだ返さなくても大丈夫」などとナメられてしまうものです。
相手に強く返済を迫るのは、強面の人や相当気の強い人でなければ難しいものです。
なかなか相手に返済の意思が見えない場合は法的手段も検討していきましょう。
内容証明郵便を送る
相手に直接何度もお金を返すよう請求したけれど一向に埒があかない場合、次に考えるべきは相手に内容証明を送ることです。
いつ、どのような約束でお金を貸したのか、そして返済するように求める文書を相手に送ります。
内容証明で送る文書は法的な効力こそないものの、相手には「この人の請求を無視しつづけていると、裁判とかもっと面倒なことになりかねないぞ」と心理的なプレッシャーを与えることができます。
普通の郵便とちがい内容証明郵便はその文書の内容を郵便局が証明してくれます。同じ文書を3通作成し、1通は自分、1通は相手に郵送、そして残る1通を郵便局が保管して文書内容を証明してもらえます。
内容証明の文書はそれ自体には法的効力はないですが、後に裁判に発展した際、証拠として使われます。そのため内容証明の文書はきちんと正確に書式に則って作成する必要があります。
相手に貸し付けている金額が大きい場合などは弁護士に書類作成を依頼してもよいでしょう。
内容証明の書式・書き方
内容証明の文書の書式は行数・文字数の制限があるので注意が必要です。
横書きの場合は
1枚26行以内・1行20文字以内
1枚40行以内・1行13文字以内
1枚20行以内・1行26文字以内
縦書きの場合は
1枚26行以内・1行20文字以内
という制限があり、これに則って文書を作成します。
数字や記号などについても文字数が定められているので、作成時は郵便局のサイトで確認しながら進めましょう。
内容証明ご利用の条件等 日本郵便
内容証明郵便の例文・サンプル
貸金請求通告書
〇〇県〇〇市〇〇1丁目1番1号
借金 悪夫 殿
私は、貴殿に対して令和〇年〇月〇日、
金100万円を返済期日令和〇年〇月〇日と定め、
貸し付けましたが、
返済期日を過ぎた現在でも未だ返済されておりません。
つきましては本書面到達後10日以内に、
元金100万円をお支払い頂くよう請求致します。
もし上記期間内に支払いなき場合は本件に関し、
訴訟を含む法的手続きを取る所存であることを、
念のため申し添えます。
令和〇年〇月〇日
〇〇県〇〇市〇〇2丁目2番2号
貸金 良夫 印
書式としては、
- 文書タイトル
- 相手方住所・氏名
- 文面
- 日付
- 自分の住所・氏名・捺印
とし、文面には貸付時の金額や利息の取り決め、返済期限などを明記。
支払わない場合は裁判に訴える意思があることを付け加えてあればOKです。
内容証明郵便でも返済がない?!60万円以内なら少額訴訟を
内容証明郵便を送っても相手から返済はもちろん何の反応もない場合、貸しているお金が60万円以内であれば少額訴訟も行えます。
少額訴訟とは、民事訴訟のうち60万円以下の金銭の支払いを求める訴えについて、原則1回の審理で解決を図る手続きです。
手続きは相手住所地の簡易裁判所で行われるので、遠方に住む相手だと交通費もかかり大変ですが、相手が同じ地域内の住民であれば有効な方法です。
少額訴訟は個人間の金銭の貸し借りで支払い請求をする場合以外にも、アルバイトの給料の不払い、賃貸住宅の敷金返却がされないなどのトラブルで利用されています。
少額訴訟のメリット
少額訴訟は相手住所地の簡易裁判所に1回出廷するだけで直ちに判決が言い渡されるので、時間もかかりません。
相手がその日時に裁判所へ出廷しなければ自動的に勝訴となります。相手も出廷し、1日で審理が終わらなかった場合は通常訴訟に移行します。
また弁護士に依頼せずに手続きをすることもできるため、手続き費用も総額5,000円〜1万円程度に抑えることができます。
少額訴訟で勝訴して相手に対して支払いの判決が下った場合、相手がそれに応じて返済すれば問題解決ですが、支払わない場合は強制執行の手続きを行えます。
勝訴すれば強制執行により相手の預金口座や給料を差し押さえて貸付金の回収ができるようになります。
少額訴訟の書類の書き方、証拠の準備
少額訴訟も訴状の書式が決まっていますが、これは裁判所のサイトから書式と記載例をダウンロードできるので、これに沿って書いていくのが間違いないです。
裁判所|貸金請求
証拠資料については、借用書や金銭消費貸借契約書があればベストです。
ない場合は内容証明郵便や銀行振込時の入出金履歴がわかる通帳のコピー、メールのやり取りのコピーや電話・会話の録音データなどが必要です。
少額訴訟では無理なら支払督促を
60万円を超えるお金を貸している場合など、少額訴訟できない場合は支払督促を行うことができます。
支払督促は相手の住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に申し立てて行いますが、書類審査のみで行われるので、書類を提出すれば裁判所に直接行く必要はありません。手数料も通常の訴訟の半額で行うことができます。
支払督促は相手が受け取ってから2週間以内に異議の申し立てが行われないと、裁判所は支払督促に仮執行宣言を発付します。これによりお金を貸している債権者は強制執行の申し立てができるようになります。
支払督促は裁判所からのお墨付きを得た強制執行ができるようになり、相手の預金口座や給料の差し押さえも可能になります。
支払督促は法的手段としてはかなり強力です。
支払督促のデメリット
支払督促は相手から2週間以内に異議申し立てが行われると無効となり、通常の民事訴訟の手続きに移ります。
相手から異議申し立てが出ると、裁判は相手の住所近くの簡易裁判所もしくは地方裁判所で開かれるので、これも相手が自分と同じ地域に住んでいる場合に行うのが良いです。
相手からの異議申し立ては、裁判所からの支払督促の送付時に異議申し立ての手続き方法を記した文書も一緒に送付され、異議も郵送で申し立てることができます。
支払督促の異議申し立てもかなりカンタンに行えるため、相手に借金を踏み倒す意図がないと判断できるなど、異議を出さない可能性が高い場合のみしか原則使えません。
強制執行で相手の銀行口座を差し押さえるには、相手の銀行支店名と口座名義が必要です。
ただし相手の銀行口座を差し押さえても、その口座にお金が入っていなければ貸したお金の回収はできません。給料の差し押さえも同様に、相手が無職では差し押さえることはできません。
本当にお金のない相手からは貸付資金の回収はできないということです。強制執行の手続きに踏み切る前に、相手の仕事や財産状況も確認するようにしましょう。
それにしても払わない相手から貸したお金を返済してもらうのは大変ですね。。。