国の教育ローン(教育一般貸付)でお金を借りる。奨学金との違いは何?返済は大変?

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国の教育ローンをご存知ですか?

国の教育ローンとは政府系金融機関である日本政策金融公庫が行なっている「教育一般貸付」と呼ばれるものです。

教育一般貸付には家庭状況に応じて金利や返済期間などの優遇制度があり、母子家庭・父子家庭の方や世帯年収が少ない方でも利用しやすいのが特長です。

教育一般貸付は利用できる方の世帯年収に上限を設けており、お金持ちほどお金を借りやすい一般的なローンと違って、お金持ちで裕福な家庭ではお金を借りることができません。

教育一般貸付は国が用意した、まさに庶民のための教育ローンなのです。

そんな国の教育ローン「教育一般貸付」について、奨学金との違いを交えながらわかりやすく解説しますね。。

目次

教育一般貸付(国の教育ローン)の概要と特長

教育一般貸付の主な特長
  • 350万円を上限に融資。条件により最大450万円までの借入も可能。
  • 受験前でも申込可能。入学金、授業料、受験費用以外の教育資金ニーズにも対応。
  • 世帯年収やお子様の人数など家庭状況に応じた金利・返済期間・保証料の優遇。
  • 固定金利年率1.66%。最長15年の長期返済。在学中は利息のみの返済も可能。
  • 連帯保証人を立てられない場合でも契約可能。
  • 申込完了から約20日程度で融資可能。郵送でも契約可能。
  • 日本学生支援機構の奨学金とも併用できる。
利用できる人融資対象の学校に入学・在学するお子さんの保護者の方
世帯年収の制限金額を超えない方
資金使途入学金・授業料、受験費用、教科書・パソコン等の購入費用、通学費用、通学のための住居費用、留学費用、就学中の国民年金保険料等
借入限度額学生1人につき350万円以内
海外留学資金は450万円以内
金利固定金利:年率1.66%(2020年4月1日時点)
母子家庭、父子家庭、世帯年収200万円(所得122万円)以内の方または子ども3人以上(注)の世帯かつ世帯年収500万円(所得346万円)以内の方は年1.26%(固定金利・保証料別)
保証・担保連帯保証人または公益財団法人教育資金融資保証基金の保証(保証料が必要。融資額から差し引く。)
返済毎月元利均等返済
ボーナス月の増額返済も可能
在学期間中は利息のみの返済(元金据置)も可能
返済期間:15年以内
申込時期年中いつでも可能
その他独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金との併用も可能
申込先日本政策金融公庫国民生活事業
沖縄在住者は沖縄振興開発金融公庫

教育一般貸付は日本政策金融公庫という公的な金融機関からの融資のため、民間の銀行等の教育ローンにはない様々な特長があります。

そのいくつかを解説します。

お子様1名につき350万円、条件により450万円まで借入可能。

教育一般貸付(国の教育ローン)では、お子様ひとりにつき融資限度額350万円または450万円のどちらかに設定されます。

通常は限度額350万円までの融資となりますが、以下の条件のいずれかを満たす場合は450万円まで借りれます。

教育一般貸付で450万円まで借りれる条件
  • お子様が自宅以外から通学する場合
  • 医学部等、修業年数5年以上の大学(昼間部)に通う場合
  • 大学院へ通う場合
  • 3ヶ月以上の海外留学をする場合

進学を機にお子さんが自宅を離れてひとり暮らしを始める場合、融資限度額は450万円になり、アパート・マンションの敷金や家賃などの住居費用もまかなうことができます。

自宅外から通学したり大学院へ進学するなど、450万円まで借りれる条件はそれほど特殊ではなく、多くの人が当てはまりますね。

世帯年収やお子様の人数などによる金利・返済等の優遇制度がある

教育一般貸付(国の教育ローン)は通常は年率1.66%(2020年4月1日時点)、返済期間15年のローンです。

しかし家庭の状況に応じた金利・返済期間・保証料の優遇制度もあります。

 金利返済期間保証料
母子家庭・父子家庭年率1.26%最長18年通常の2/3
交通遺児家庭年率1.66%最長18年通常の2/3
子供3人以上かつ
世帯年収500万以内の方(※1)
年率1.26%最長18年通常
世帯年収200万円以内の方(※2)年率1.26%最長18年通常

※1:事業所得者は世帯年収346万円以内の方
※2:事業所得者は世帯年収122万円以内の方

保証料は連帯保証人を実際に学校に通うお子さんの4親等以内の親族から立てられる場合は不要です。

連帯保証人がない場合は公益財団法人教育資金融資保証基金の保証を受けることになります。

教育資金融資保証基金は「国の教育ローン」の融資の際、連帯保証人を立てられない方の保証を行うことを目的に設立された公益財団法人です。

以下は教育資金融資保証基金が保証を行う場合の、融資額100万円あたりの通常の保証料の目安です。

返済期間元金据置なし元金据置2年元金据置4年
5年23,413円28,095円32,778円
10年46,413円55,695円64,978円
15年69,751円83,701円97,651円

保証料は返済期間と利息のみの支払いとなる据置期間の長さによって変わります。

母子家庭・父子家庭の方は保証料がこの2/3の金額になります。

保証料は融資金から一括で差し引かれるため、保証料を別途用意する必要はありません。

保証料は融資額のおよそ2.3%〜9.7%です。保証料としてはやや高い印象ですが、連帯保証人を立てるのが難しい場合は仕方ないですね。

教育一般貸付(国の教育ローン)は裕福な家庭だと借りれない

教育一般貸付(国の教育ローン)は経済的にあまり裕福でない世帯の教育支援という側面があり、融資を受ける保護者の方の世帯年収には上限が設けられています。

お子さんの人数世帯年収の上限額
1人790万円(事業所得者は590万円)
2人890万円(事業所得者は680万円)
3人990万円(事業所得者は770万円)
4人1090万円(事業所得者は870万円)
5人1190万円(事業所得者は970万円)

世帯年収なので、世帯主の方と配偶者の年収も含めた年収での上限です。

厚生労働省の国民生活基礎調査(平成30年)によると、1世帯あたりの平均所得金額は551万6000円、中央値が423万円となっています。

世帯年収の上限と言っても平均所得金額を上回る790万円以下という条件ですから、多くの世帯では利用条件に当てはまるはずです。

子供の学費をポーンと支払うことのできる本当に裕福な世帯だけは国の教育ローンは受けられないということですね。

教育一般貸付(国の教育ローン)は奨学金を借りていても借りれるの?違いは何?

教育一般貸付(国の教育ローン)は日本学生支援機構(JASSO)の奨学金との併用が可能です。

併用が可能というよりも、奨学金との制度の違いを今一度確認した方がよいです。

教育一般貸付(国の教育ローン)と奨学金との違い

以下は教育一般貸付(国の教育ローン)と日本学生支援機構の奨学金のと主な違いを表にしたものです。

 教育一般貸付
(国の教育ローン)
日本学生支援機構
奨学金(第二種)
お金を借りる人保護者子供
お金の借り方一括借入毎月定額借入
融資限度額350万円
450万円まで増額可能
毎月12万円
最長返済期間15年20年
返済開始時期借入の翌月から
(元金据置期間あり)
貸与期間終了の
6ヶ月後から

最も大きな違いは、教育一般貸付が保護者に融資するのに対し、日本学生支援機構の奨学金は通学する子供本人に対して融資が行われることです。

お金を貸し付ける相手が違うので併用が可能と言ってもよいでしょう。

入学金や初年度授業料、下宿先の引っ越し代、住居契約費用など、入学時に必要なお金を親御さんが国の教育ローンを使って負担。2年目以降の授業料をお子さんに奨学金で支払ってもらうといった併用ができますね。

教育一般貸付(国の教育ローン)は入学時のまとまったお金の支払いへの利用がおすすめ

大学の入学時には入学金などでまとまったお金が必要になります。

日本学生支援機構の奨学金でも入学時特別増額で1回に最大50万円までを借りることができますが、50万円は入学金としては心許ない金額の上に貸与されるのは入学後です。

入学金の払い込み期日に間に合わない場合もあります。

教育一般貸付(国の教育ローン)は合格発表後の入学前の時点でも融資を受けられ、さらに一括借入でお金を借りるため、入学時のまとまったお金の支払いに利用するのがおすすめです。

この金融記事を書いた人

マネーNOW編集部

10年以上の金融ライター歴を持つ編集長の下、本サイトでは貸金業務取扱主任者FP技能士等の有資格者、金融会社勤務経験者らと協力し、その知識・経験をわかりやすくまとめ伝えるよう心がけています。

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