母子家庭のシングルマザーはなかなか思うように働けず、お金に困ることも少なくないですよね。
生活を続けていく上である程度のまとまったお金が必要になることがわかっている場合は、お住まいの市役所等に相談してお金を借りることもできます。
それが母子寡婦福祉資金貸付という制度です。
あくまでお金を貸す制度なので、児童扶養手当のように国からお金をもらえる制度とは違いますが、お金に困った時には頼れる存在です。
母子寡婦福祉資金貸付制度についてわかりやすく解説します。
母子寡婦福祉資金貸付を定める法律と特長
母子寡婦福祉資金貸付制度は母子及び父子並びに寡婦福祉法という国の法律の規定に基づいて行われる貸付制度です。
幅広い用途の貸付資金があり、金利も無利息または年率1.0%(連帯保証人のない場合)でお金を借りれるのが特長です。
借りたお金は返済しなくてはなりませんが、返済の据置期間があり、さらに無利息または低金利なので、返済が長期になっても利息の支払いがわずかでゆっくり返済していけます。
貸付条件は銀行や民間の金融会社より全然良いので、母子家庭のシングルマザーがお金に困った時の金策の一つとして、頭の片隅に入れておくべきでしょう。
母子寡婦福祉資金貸付制度で借りれる貸付金の種類
母子寡婦福祉資金制度で借りれる貸付金は12種類あり、生活やご自身の仕事に関するものはもちろん、お子さんの就学・進学に対応した貸付もあります。
お住まいの市町村によって細かい部分では異なる点もありますが、概ね以下のようになっています。
貸付金の種類 | 資金の内容 | 貸付限度額 | 償還期間 |
---|---|---|---|
事業開始資金 | 事業開始に必要な設備、什器、機械等の購入資金(個人事業のみ) | 2,870,000円 | 7年以内 |
事業継続資金 | 事業を続けるために必要な資金(個人事業のみ) | 1,440,000円 | 7年以内 |
技能習得資金 | 事業開始または就職を目的として必要な技能習得のための資金 | 月額68,000円(5年以内) 一括816,000円 運転免許取得460,000円 | 20年 |
就職支度資金 | 就職時に必要な身の回り品及び通勤用自動車購入資金 | 100,000円 車購入:330,000円 | 6年 |
住宅資金 | 現住宅の増改築及び補修に必要な資金 | 1,500,000円 特別2,000,000円 | 6年以内 (特別7年) |
転宅資金 | 住居移転に伴う敷金・運送費用等に必要な資金 | 260,000円 | 3年 |
結婚資金 | 扶養する子供の婚姻に必要な資金 | 300,000円 | 5年 |
生活資金 | 知識技能を習得する期間、医療・介護を受けている期間、母子家庭7年未満の生活を安定・継続する期間、失業中に必要な資金 | 一般月額105,000円 技能月額141,000円 | 技能20年 医療介護5年 生活安定8年 失業5年 |
医療介護資金 | 医療・介護に必要な資金で健康保険・介護保険の自己負担分などにあてる資金 | 医療340,000円 介護500,000円 | 5年 |
修学資金 | 子供が高校、大学、高専、専修学校、大学院の授業料、書籍代、交通費等に必要な資金 | 月額27,000円〜183,000円 | 20年 |
就学支度資金 | 子供が就学、修業するために必要な被服等の購入に必要な資金 | 63,100円〜590,000円 | 20年 |
修業資金 | 子供が事業開始又は就職に必要な知識技能の習得に必要な資金 | 月額68,000円 運転免許460,000円 | 20年 |
表中にはスペースの関係で記載できませんでしたが、それぞれの貸付には償還期間(返済期間)の前に6ヶ月から1年の据え置き期間が設けられています。
カードローンやクレジットカードのキャッシングのように借りた翌月から返済が始まるわけではない上に、金利も無利息もしくは年率1.0%なので、高額な利息の支払いもなくゆっくり返済を進めていけます。
無利息もしくは年率1%の低金利で返済期間も長いため、無理なく返済していけるのも大きな特長ですね。
離婚直後でお金も仕事もない時に借りれる生活資金貸付
母子寡婦福祉資金貸付の一つ「生活資金貸付」は、母子家庭になって間もない方や失業中の方がお金を借りれる貸付です。
離婚後7年未満の方は月額103,000円を、合計240万円までを限度として借りられます。
返済は貸付期間終了後、6ヶ月の据置期間の後、8年以内(生活安定貸付の場合)もしくは5年以内(失業による貸付の場合)で行います。
親族などを連帯保証人として立てられる場合は無利息、保証人がない場合は年率1.0%でお金を借りられます。
要相談ですが、離婚後の子供の養育費取得のための裁判費用も12ヶ月分(1,236,000円)を上限として借りることができ、必要に応じて3ヶ月分までを一括で借りることも可能ですよ。
お金がないけど引っ越ししたい時は転宅資金貸付
離婚に伴い引っ越しをしたり、隣人トラブルや住環境などの都合でどうしても引っ越しをしなければいけない。けどお金がない。
そんな時に借りれるのが母子寡婦福祉資金貸付制度の転宅資金貸付です。
住居移転に伴う新居の敷金や引っ越し料金の支払いに必要なお金を最大26万円まで借りることができます。
転宅資金貸付は融資から6ヶ月の据置期間の後、3年以内の償還期限が定められています。
連帯保証人がいれば無利息、いない場合は年率1.0%でお金を借りれます。
車の運転免許取得費用も借りれる技能習得資金貸付
離婚後に仕事や生活の都合上、車の運転免許がどうしても必要になるケースも多いです。
車の運転免許取得費用も母子寡婦福祉資金貸付制度の技能習得資金貸付を利用して借りることができます。
運転免許取得費用として借りる場合は最大46万円まで借りられます。
返済は運転免許の取得後、1年間の据置期間の後に20年以内の償還となっています。
運転免許を取得すれば車も必要となりますが、通勤用の車の購入費用は就職支度資金貸付を利用すると最大33万円までを無利息もしくは金利1%で借りれます。安い中古車なら買えますよ!
子供の入学費用や学費も母子寡婦福祉資金貸付で借りられる
子供が学校に入学する時に必要な制服代などは母子寡婦福祉資金貸付制度の就学支度資金貸付で借りることができます。
小学校は40,600円、中学校入学は47,400円、公立高校の入学には16万円まで借りられます。
高校や大学、専門学校などの授業料は母子寡婦福祉資金貸付制度の修学資金貸付で借りられます。
高校の場合は月額52,500円を子供の就学期間中ずっと借りることができ、返済は卒業から6ヶ月の据置期間後、20年以内の返済となっています。
修学資金貸付は親や親族が連帯保証人になることで、学校へいく子供本人が借りることもできます。この場合は連帯保証人がいるので無利息で借りれることになります。
母子寡婦福祉資金貸付制度で借りれない人とは?
母子寡婦福祉資金貸付制度は母子家庭の方の自立支援のための貸付制度なので、「配偶者のいない女性でお子様を扶養している方」が貸付の必須条件になります。
法律上は配偶者がいなくても内縁関係の男性がいる方、子供とは事実上別居していて扶養しているとみなされない方は面談や審査の結果、借りれない場合があります。
その他に借りれない人として、すでに貸付を利用していて返済が滞っている方、カードローンやクレカのリボ払い等で多額の借金がある方などが挙げられます。
他社ローン等で多額の借金がある方は、貸付を本来の目的に沿って使われない恐れがあることから避けられています。借金の借換には利用できませんので注意してください。
母子寡婦福祉資金貸付は返済できない・滞納するとどうなるの?
貸付を受けたけど、生活を経済的に軌道に乗せることができなかったなどで返済ができない、滞納してしまった場合はどうなるのでしょうか。
母子寡婦福祉資金貸付は滞納すると年5.0%の違約金が発生します。
返済が苦しい場合は、滞納してしまう前に貸付を申請した窓口まで相談しましょう。
横浜市では、滞納になっている一部の債権について「電話納付案内センター」による納付案内、弁護士徴収委任を行っています。
引用元:母子父子寡婦福祉資金|横浜市
滞納した場合は市町村等により対応は異なりますが、貸金業法で取り立てが禁止されている消費者金融等とは異なり、自宅への訪問による取り立てが行われる場合もあるようです。注意しましょう。
母子寡婦福祉資金貸付は借りた人が返済したお金(償還金)が、別の人が貸付を受ける原資となります。そのため返済が免除されて給付に変わるような特例はありませんし、滞納への対応も厳しい方でしょう。
母子寡婦福祉資金貸付制度の申込について
母子寡婦福祉資金貸付の申込は各市町村の生活福祉課や子ども相談課などに相当する課が受付窓口になっています。
申請に先立って面談が必要となるので、まずは電話で問い合わせて都合の良い日時でアポイントを取るとよいです。
母子寡婦福祉資金貸付の申込の流れ
正式な申請の前にまず相談という形で面談が行われます。借受人(申請者)と連帯借受人(子に必要な資金を借りる場合は子供)は面接が必要です。
面談ではケースワーカーによる家庭や経済的な状況の確認が行われます。状況によっては申請を断られる場合もあります。
申請書と必要書類を提出します。申請後に追加で書類提出を求められる場合もあります。
提出書類をもとに審査が行われます。審査結果は郵送で通知が届きます。
審査に通過し貸付が決定した方は申請時に記載した口座に振込入金されます。
母子寡婦福祉資金貸付は地域によりますがおよそ申請から融資まで3ヶ月ほどかかります。金利や返済時のメリットは多いですが、融資まで時間がかかるのが最大の欠点です。早めに手続きを始めるか、申請後に融資実行までのつなぎ資金として即日融資も可能なカードローンの利用も検討しましょう。