不測の事態で収入が激減してしまった!
病気や怪我で働けない!仕事ができない!
本当に収入がなくてどこからもお金が借りれない!
そんな経済的な大ピンチの時に国から無利息や低金利でお金を借りれる、生活福祉資金貸付制度というものがあるのをご存知ですか?
生活福祉資金貸付は生活保護とはまた別の制度です。
中には短期間で10万円を無利息で借りれる緊急小口資金という貸付もあり、経済的に苦境に立たされた時にはとても頼りになる制度です。
困った時に役立つ生活福祉資金貸付制度について解説します。
生活福祉資金貸付制度でお金を借りれる人
生活福祉資金貸付制度を利用してお金を借りることができるのは、以下のいずれかに該当する人です。
- 低所得者世帯
低収入で必要な資金を他から借りることが困難な世帯(住民税非課税世帯) - 障害者世帯
身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人がいる世帯 - 高齢者世帯
65歳以上の高齢者がいる世帯
障害者世帯と高齢者世帯については定義がわかりやすいですが、低所得者世帯というのはどのくらいの低所得を指すのでしょうか。
住民税非課税世帯なら生活福祉資金貸付制度でお金を借りれる
必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯(市町村民税非課税程度)
引用元:生活福祉資金貸付制度|厚生労働省
厚生労働省Webサイト内の生活福祉資金貸付制度のページには市町村民税非課税程度と記されています。
市町村民税とは住民税のことなので、住民税非課税世帯がここで言う低所得者世帯となります。
例として愛知県名古屋市では以下の要件に該当する方の住民税が非課税となります。
生活保護法によって生活扶助を受けている方
引用元:市民税・県民税が課税されない方(非課税)|名古屋市役所
障害者、未成年者、寡婦または寡夫で、前年中の合計所得金額が125万円以下の方
扶養家族がなく、前年中の合計所得金額が35万円以下の方
扶養家族があり、前年中の合計所得金額が次の金額以下の方
35万円×(扶養家族の数+1)+21万円
この名古屋市の例を参考にすると、
- すでに生活保護を受けている方
- 離婚後に年間所得125万円以下の方
- 単身世帯で年間所得35万円以下の方
- 扶養家族が1人で年間所得91万円以下の方
- 扶養家族が2人で年間所得126万円以下の方
こうした条件に近い方、当てはまる方は低所得者世帯として認められ、生活福祉資金貸付制度を利用してお金を借りることができます。
前年度の所得をもとに該当者を割り出していますが、本年中に急激に収入や所得が激減した場合なども、収入が激減した理由や証拠を示せる書類(給与明細など)を提示することで生活福祉資金貸付を申請することができます。
生活福祉資金貸付制度の貸付資金の種類
生活福祉資金貸付制度には「総合支援資金」「福祉資金」「教育支援資金」「不動産担保型生活資金」の4つの資金貸付があります。
この4つのうち、諸々の事情で貧困状態にある人が生活を立て直すために利用できるのが「総合支援資金」「福祉資金」の2つです。
総合支援資金で生活費や入居費用、生活再建費を借りる
総合支援資金には「生活支援費」「住居入居費」「一時生活再建費」の3つがあります。
生活支援費
貸付限度額 | 単身:月15万円以内 2人以上:月20万円以内 貸付期間:原則3ヶ月(最長12ヶ月) |
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据置期間 | 最終貸付日から6ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期限後10年以内 |
貸付利息 | 保証人あり:無利息 保証人なし:年率1.5% |
保証人 | 原則必要だが保証人なしでも貸付可 |
生活再建までに必要となる生活費を借りることができます。
生活支援費は2人以上の世帯では月20万円以内で貸付期間が原則3ヶ月〜最長12ヶ月なので、最大で
20万円×12ヶ月=240万円
240万円までを借りることができる計算です。
返済の据置期間が最終貸付日から6ヶ月以内なので、返済開始は最長で6ヶ月後。
償還期限とは返済期限にあたり、これが10年以内となっています。
保証人を立てられる人は無利息で借りれますが、保証人なしでも年率1.5%でお金を借りられます。
住居入居費
貸付限度額 | 40万円以内 |
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据置期間 | 貸付日から6ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期限後10年以内 |
貸付利息 | 保証人あり:無利息 保証人なし:年率1.5% |
保証人 | 原則必要だが保証人なしでも貸付可 |
敷金・礼金など住居の賃貸契約を結ぶために必要な費用を借りる場合に適用されます。
一時生活再建費
貸付限度額 | 60万円以内 |
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据置期間 | 貸付日から6ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期限後10年以内 |
貸付利息 | 保証人あり:無利息 保証人なし:年率1.5% |
保証人 | 原則必要だが保証人なしでも貸付可 |
生活を再建するために必要となる費用で、生活費では賄えない費用を借りる場合に適用されます。
就職するための技能習得にかかる費用、公共料金の立替費用、債務整理するために必要な費用などに充てられます。
福祉資金は技能習得費用やその間の生活費も借りれる
福祉資金には「福祉費」「緊急小口資金」の2つがあります。
福祉費
貸付限度額 | 580万円以内(資金用途に応じて上限目安額を設定) |
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据置期間 | 貸付日から6ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期限後20年以内 |
貸付利息 | 保証人あり:無利息 保証人なし:年率1.5% |
保証人 | 原則必要だが保証人なしでも貸付可 |
福祉費は貸付限度額も大きく、償還期限(返済期限)も最長で20年以内と長く設定されています。
- 生業を営むために必要な経費
- 技能習得に必要な経費及びその期間中の生計を維持するために必要な経費
- 住宅の増改築、補修等及び公営住宅の譲り受けに必要な経費
- 福祉用具等の購入に必要な経費
- 障害者用の自動車の購入に必要な経費
- 中国残留邦人等に係る国民年金保険料の追納に必要な経費
- 負傷又は疾病の療養に必要な経費及びその療養期間中の生計を維持するために必要な経費
- 介護サービス、障害者サービス等を受けるのに必要な経費及びその期間中の生計を維持するために必要な経費
- 災害を受けたことにより臨時に必要となる経費
- 冠婚葬祭に必要な経費
- 住居の移転等、給排水設備等の設置に必要な経費
- 就職、技能習得等の支度に必要な経費
- その他日常生活上一時的に必要な経費
福祉費の用途は幅広いですが、資金用途に応じて上限目安金額が厚生労働省により提示されています。
緊急小口資金
貸付限度額 | 10万円以内 |
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据置期間 | 貸付日から2ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期限後12ヶ月以内 |
貸付利息 | 無利息 |
保証人 | 保証人不要 |
緊急小口資金は当面の生活費のお金がないなど、緊急時に早急に必要なお金を用立てるのに用いられます。
緊急小口資金では10万円を無利息・保証人なしで借りられ、返済は据置期間終了後の12ヶ月以内となっています。
緊急小口資金貸付は他の生活福祉資金貸付よりも融資までの手続きは早いですが、それでも融資実行まで5営業日かかります。
今日明日を暮らすのに必要なお金がない場合は即日融資も可能な消費者金融等でまず数万円程度を借りて、緊急小口資金での借入後に全額返済して借り換えるとよいです。
低所得世帯の就学・入学資金を借りれる「教育支援資金」
教育支援資金には高校や高専、大学・短大の授業料などの必要経費を借りれる「教育支援費」。
そして高校や大学の入学時に必要となる費用を借りれる「就学支援費」があります。
教育支援資金は就学を希望する学生本人が融資を受けることになります。
また保証人は原則不要ですが、審査により世帯内の家族の方(原則として保護者)を連帯借受人(連帯して債務を負担するが連帯保証人とは異なる)として立てる必要がある場合もあります。
教育支援費
貸付限度額 | 高校:月3.5万円以内、高専・短大:月6万円以内、大学:月6.5万円以内 特に必要な場合は各上限額の1.5倍まで融資可能 |
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据置期間 | 卒業後6ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期間後20年以内 |
貸付利息 | 無利息 |
保証人 | 保証人不要(世帯内で連帯借受人が必要な場合あり) |
高校や大学等に通うために必要な費用を借りられます。
毎月一定額の融資となり日本学生支援機構の奨学金に近い仕組みですが、こちらは無利息なのが特長です。
就学支援費
貸付限度額 | 50万円以内 |
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据置期間 | 卒業後6ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期間後20年以内 |
貸付利息 | 無利息 |
保証人 | 保証人不要(世帯内で連帯借受人が必要な場合あり) |
就学支援費は高校、高専、大学への入学時に必要となるお金を借りれます。
不動産担保型生活資金
不動産担保生活資金は低所得の高齢者向けに住居用不動産を担保に生活資金を貸し付けるものです。
要保護の高齢者世帯向けの「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」もあります。
高齢になると生活費に困っても金融機関からの融資は年齢を理由に断られることが多くなります。
持ち家のある方はお近くの社会福祉協議会で相談してみるとよいです。
不動産担保型生活資金
貸付限度額 | 最大で土地の評価額の70%程度額を月々30万円以内で貸付。 |
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据置期間 | 契約終了後3ヶ月以内、 |
償還期限 | 据置期間終了時 |
貸付利息 | 年3.0%または長期プライムレートでいずれか金利の低い方 |
保証人 | 必要。推定相続人の中から選任 |
不動産担保型生活資金は土地の評価額の70%程度が貸付限度額となります。
土地の評価額が1000万円であれば、その70%の700万円程度を上限に、毎月30万円以内で融資を受けることができます。
融資期間は借受人の死亡時までか、もしくは貸付限度額に達するまでの期間のどちらか早い方になります。
要保護世帯向け不動産担保型生活資金
貸付限度額 | 最大で土地の評価額の70%程度額(集合住宅の場合は50%)を生活扶助額の1.5倍以内で月々貸付。 |
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据置期間 | 契約終了後3ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期間終了時 |
貸付利息 | 年3.0%または長期プライムレートでいずれか金利の低い方 |
保証人 | 不要 |
要保護世帯向け不動産担保型生活資金も融資期間は借受人の死亡時までか、もしくは貸付限度額に達するまでの期間のどちらか早い方になります。
月々の融資金額は生活保護の受給時に算出される生活扶助額の1.5倍以内となります。
生活扶助額は70歳以上の高齢世帯だと住む地域によりますが、およそ27000円〜33000円程度です。それほどまとまったお金が借りられるわけではありません。
生活福祉資金貸付の申込み方法
生活福祉資金貸付の申込必要書類
- 住民票(発行から3ヶ月以内、マイナンバー・住民コード以外の全てを記載のもの)
- 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等)
- 在留カード(外国人の場合)
- 通帳またはキャッシュカード
- 印鑑
- 印鑑登録証明書
- 【総合支援資金・福祉資金の場合】収入の減少がわかる書類(給与明細、通帳、勤務表など)
申請時に必要となる書類はおおよそこの通りですが、資金用途によって別途に必要な書類が出てくる場合があります。
お近くの市町村社会福祉協議会事務局に訪問する前に、ご自身の場合は他にどんな書類が必要になるかを電話で確認するのがおすすめです。
生活福祉資金貸付の審査と融資までの流れ
生活福祉資金貸付でお金を借りるのにも審査があり、総合支援資金の場合は窓口での申請から実際に融資を受けるまで2週間程度かかります。
申請から審査、融資までの流れは以下の通りです。
必要書類を持参
市町村社会福祉協議会事務局または担当民生委員より連絡
借受人(申請者)、連帯借受人・連帯保証人(必要な場合)の署名・実印のある借用書を提出します。
貸付資金の種類によっては資金使途報告書の提出が必要になる場合があります。領収書等はきちんと保管しておきましょう。
返済は基本的には口座振替で元利均等払いで行います。償還完了時には完了通知を受領します。
生活福祉資金貸付の申請窓口
生活福祉資金貸付の申込窓口は全国の各市町村の社会福祉協議会事務局になります。
以下の全国の都道府県社会福祉協議会のWebサイトからお住まいの市町村の社会福祉協議会のWebサイトをたどり、申請窓口や連絡先などを確認してください。